核シェルターに求められる空調設備とは?重要な理由やエアコン型シェルターも紹介

近年、台湾有事やウクライナ問題などの国際情勢のリスクから、万が一の事態に備えて核シェルターの導入を検討している人々が増加しています。
核シェルターと聞くと「とにかく頑丈な作りの避難場所」というイメージを持つ方が多いと思いますが、実は耐久性以上に空調設備が重要なことをご存知でしょうか。
核シェルターの空調設備は、単に快適な温度を保つだけでなく、外部の有害物質を遮断しながら内部の空気を清浄に保ち、生きるために不可欠な酸素を供給する役割を担っています。
とはいえ「具体的にどんな空調設備があればいいの?」と悩んでしまう人も多いはずです。
そこで本記事では、核シェルターに求められる具体的な空調設備の性能と、その重要性について詳しく解説します。
有事の際に安全な環境で避難生活を送るために、ぜひ最後までチェックしてください。
核シェルターに求められる空調設備
核シェルターでは、外部環境から完全に隔絶された空間で安全な避難生活を送るために、汚染物質を含まない空気を安定的に供給できる空調システムが求められます。
その中心となるのが、高性能フィルターと換気システムです。フィルターは外気中の有害物質を除去し、換気システムは内部の気圧を外部より高く保つことで、汚染空気の侵入を防ぎます。
核シェルターに用いられるフィルターと役割は以下のとおりです。
- HEPAフィルター:放射性降下物や微粒子を除去
- 活性炭フィルター:化学兵器や有害ガスを吸着
- ケイ酸塩フィルター:放射性物質を効果的に吸着
これらの高性能なフィルターを備えたシェルターであれば、核汚染が予想されるエリアにいたとしても安全な避難生活を送ることができます。
なお、HANAREで取り扱っているWNIの核シェルターでは、核シェルター先進国であるイスラエル製のフィルターを採用。放射性物質や化学兵器、生物兵器などのさまざまな脅威に対応しています。他社のフィルターとの違いや、具体的にどんな性能があるのかが気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
建築基準法における必要換気量
核シェルターの空調設備を検討するうえで問題となるのは、日本の建築基準法が「1時間あたり20㎥/人」という必要換気量を一律に求めている点です。
どれだけ大規模なシェルターを建設しても、この基準を満たさなければ法的に適合しないことになります。
本来この基準は、住宅やオフィスといった一般建築を想定したものです。しかし、日本では核シェルターに関する法整備が整っていないため、そのままシェルターにも適用されてしまうのが実情です。
なお、シェルター普及率が高いスイスでは、有事の際に換気基準を緩和できる特別措置が法律で定められています。
これに比べると、日本の法整備は大きく遅れており、核シェルターの実用性を高めるためには法改正が喫緊の課題といえるでしょう。
核シェルターで空調設備が重要な理由
核シェルターにおいて、空調設備が果たす役割は単なる換気や温度調節に留まりません。
ここからは、空調設備が重要な理由として以下4つを紹介します。
- 気密性を保ちながら空気を循環させる必要があるから
- 核攻撃後は長期間シェルター内で過ごすことになるから
- 地下シェルターでも酸素が無くなることはない
- 地下シェルターは湿度が高くなることがあるから
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
気密性を保ちながら空気を循環させる必要があるから
核シェルターにおいて空調設備が重要な理由は、「気密性」と「空気循環」の両立が必要なことにあります。
外部の放射性物質や有毒ガスを遮断するには高い気密性が不可欠ですが、そのままでは内部の酸素が不足し、長期的な生存は不可能です。
そこで活躍するのが高性能な空調システムです。外気をフィルターで浄化して取り込み、さらに内部の気圧を外部より高く維持することで、汚染空気の侵入を防ぎつつ安全な酸素供給を続けられます。
特に「陽圧」と呼ばれる仕組みによって、たとえ微細な隙間があっても外気が流れ込まず、清浄な空気の循環を保つことができます。こうした機能があるからこそ、核シェルターは密閉空間でも安心して生命を維持できるのです。
核攻撃後は長期間シェルター内で過ごすことになるから
核シェルターに空調設備が欠かせない理由の1つとして、核攻撃後には長期間の避難生活を強いられる可能性がある点も挙げられます。
核攻撃後、地表には高濃度の放射性降下物が残留し、安全に外へ出られるまで数週間から数ヵ月を要するケースが想定されます。
その間、シェルター内で生存を維持するためには、絶えず新鮮で安全な空気を供給し続けなければなりません。
その点、高性能な空調設備があれば、外気をフィルターで浄化して取り込み、内部に清浄な空気を循環させることで、酸素不足や二酸化炭素の蓄積を防ぐことが可能です。
もし空調システムが不十分であれば、わずか数日で酸素濃度が低下し、逆に二酸化炭素が危険水準に達して生命を脅かす事態になりかねません。したがって、長期避難を前提とした核シェルターには、安定的に空気を循環させる空調設備が不可欠なのです。
地下シェルターでも酸素が無くなることはない
地下シェルターは外界と隔絶された空間であるため、酸素が不足するのではないかと懸念する声がありますが、その心配は不要です。
上述した通り、核シェルターには、外部から空気を安全に取り込むための空調設備が備わっています。
空調設備が、外部の空気をろ過して内部に供給するため、シェルター内の酸素がなくなることはありません。
また、二酸化炭素濃度が高くなることもなく、安定した空気環境が維持されます。
地下シェルターは湿度が高くなることがあるから
核シェルターで空調設備が重要な理由の一つは、地下に設置された場合に湿度が非常に高くなりやすいからです。
地下は外気温の影響を受けにくく温度が安定する一方、地表の水分がこもりやすく、湿度が上がりやすい環境となります。
湿度が高いままでは、居住者の不快感が増すだけでなく、カビや細菌の繁殖を招き、健康被害のリスクが高まります。そのため、空調設備には空気を循環させるだけでなく、除湿機能を備えることが不可欠です。
適切な湿度管理が行われることで、シェルター内の衛生環境と快適性が維持され、長期に及ぶ避難生活でも健康を守ることができます。
近年は空調タイプの核シェルターにも注目が集まっている
近年は、気軽に設置できる核シェルターとして「空調タイプ(エアコン型)」が注目を集めています。
エアコン型シェルターとは、家庭用エアコンのように室内に設置できる換気システムのこと。既存の居住空間に取り入れやすいのが大きな魅力です。
通常のコンテナ型シェルターは、頑丈な鋼鉄製の箱型構造で地下や屋外に設置され、長期避難を想定した本格的な設備を備えます。しかし、その分スペースの確保や大規模工事が必要となり、導入費用も高額です。
一方でエアコン型シェルターは、既存の居住空間に取り入れやすく、大規模な工事も必要としません。また、費用もコンテナ型と比べると非常に手頃です。
そのため、都心部やマンションにおいては空調タイプの導入がもっとも現実的な選択肢となるケースも多いでしょう。
ただし、エアコン型はあくまでも空調設備なので、爆風や熱線そのものから家を守る耐久力はありません。
「防御性能の高さ」ではコンテナ型、「設置のしやすさ」ではエアコン型に軍配が上がるので、災害や有事への備え方によってどちらを選ぶべきか検討することが重要です。
核シェルターは空調以外も重要!求められる性能は?
核シェルターを選ぶ際、空調設備は極めて重要な要素ですが、安全なシェルターに求められる性能はそれだけではありません。
有事の際に家族や自分の命を守るためには、以下のような性能にも注目しましょう。
性能 | 目的 |
耐衝撃・防護性能 | 爆風や衝撃波に耐えうるため |
気密性能 | 有害なガスや放射性物質の侵入を阻止するため |
陽圧維持性能 | わずかな隙間から有害なガスや放射性物質が侵入するのを防ぐため |
例えば、核爆発の衝撃波や建物の倒壊に耐えうる強度や、有害物質の侵入を防ぐ気密性と陽圧維持性能が不可欠です。
核シェルターに必要な性能を総合的に評価し、自身のニーズに合ったシェルターを選びましょう。
なお、核シェルターの性能については、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひあわせて参考にしてください。
まとめ|安全な核シェルターをお探しならHANAREにご相談を
本記事では、核シェルターに求められる空調設備について詳しく解説しました。
核シェルターにおいて、有事の際に危険から命を守れるかどうかは空調設備にかかっていると言っても過言ではありません。
なぜなら、核攻撃や核汚染などの被害が想定される際、いくら爆風や衝撃から身を守れても、飛散した放射性物質や有毒ガスによって健康被害を被る可能性があるからです。
核シェルターを選ぶ際は、高い気密性や陽圧機能などの空調設備・換気システムを備えているかどうかをよく確認し、安全な避難生活を送れるかどうかをチェックしてください。
高性能な空調設備があれば、外部の汚染物質を遮断しながら新鮮な酸素を供給し、湿度や気圧を適切に保つことで、長期間の避難生活を支えることができます。
なお、HANAREでは核シェルターに関する相談を受け付けています。「どんな設備があればいいのかわからない」「エアコン型でも命を守れるの?」など、検討中のお悩みにも丁寧に回答させていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。