2025.09.16

世界における核シェルターの普及率|日本に核シェルターがない理由も解説

核シェルター
世界の核シェルター普及率

ロシアや北朝鮮の動向、世界各地で頻発する紛争や自然災害の影響により、「もしものときに自分や家族をどう守るか」を考える人が増えています。

そんな中で注目されているのが「核シェルター」です。

しかし、日本での核シェルターの普及率はわずか0.02%と、先進国の中でも極めて低い水準にとどまっているのが実情です。

本記事では、日本と世界の核シェルター普及率を比較し、日本に普及していない理由をわかりやすく解説します。

さらに、個人ができる備えやよくある質問にも触れ、「いざというときの行動指針」として役立つ情報をまとめました。

核シェルターの購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも核シェルターの普及率とは?

核シェルターの普及率とは、「国民のうち何割が核シェルターに避難できるか」を示す指標です。人口に対してシェルターがどれくらい整備されているかを表します。

ただし、よく用いられている普及率のデータは国ごとに算出基準が異なっており、面積換算か人口換算かなどの定義が統一されていないうえ、何を「核シェルターとするか」という定義付けも曖昧です。

そのため、普及率の数値はあくまでも目安として参考にする必要があります。

重要なのは「どの国が国民の避難先を十分に確保しているか」「どの国が整備をほとんど進めていないか」という大きな傾向を把握することです。

では、ここからは日本の核シェルターの普及率について、世界の国々と比較しながら見ていきましょう。

日本の核シェルター普及率

日本国旗

日本の核シェルター普及率は、わずか 0.02%程度といわれています。

スイスやイスラエルのように法律で設置が義務付けられている(いた)国と比べると、その差は歴然です。

日本に核シェルターが普及していない背景には、いくつかの要因があります。

まず大きいのは「安全保障意識の違い」です。スイスやフィンランドなどでは冷戦期から国民保護を目的とした法制度が整備され、核シェルター建設が義務化されました。

一方、日本では「専守防衛」を基本とした安全保障政策が続き、政府主導での核シェルター普及が進みませんでした。

次に「地理的・災害リスクの優先度」も影響しています。日本は地震や台風など自然災害が多く、行政や家庭の防災対策は耐震化や避難所整備が中心となり、核戦争や放射能被害への備えは後回しにされがちでした。

さらに「費用面のハードル」も普及を妨げています。核シェルターは数百万円から数千万円の費用がかかるため、国の補助制度がない日本では個人負担が大きく、導入が難しいのが現状です。

こうした歴史的・社会的・経済的要因が重なり、日本では欧米諸国と比べて核シェルターが一般家庭に普及していないのです。

2024年には「武力攻撃を想定した避難施設(シェルター)の確保に係る基本的考え方」が発表され、日本でも核シェルターの整備が検討されていますが、具体的な計画や整備には至っていません。

そのため、核シェルターによって核戦争などのリスクに備えるには、個人や企業が独自に導入するしかないのが現状です。

世界の核シェルター普及率ランキング

日本の核シェルター普及率は0.02%と、非常に低いのが現状ですが、世界の国々では核シェルターはどのくらい普及しているのでしょうか。

世界各国の核シェルター普及率は、以下のとおりです。

順位 国名 普及率
1 スイス 100%
2 イスラエル 100%
3 ノルウェー 98%
4 アメリカ 82%
5 ロシア 78%
6 フィンランド 85%
7 スウェーデン 70%
8 イギリス 67%
9 シンガポール 54%
10 韓国(ソウル) 323.2%

【参考】NPO法人「日本核シェルター協会」

こうしたデータを見ると、0.02%という日本の低さが際立ちます。ここからは、各国の核シェルター普及率について、その背景や特徴などを見ていきましょう。

スイス|普及率100%

スイスは世界でも有数の核シェルター先進国です。普及率は100%と、すべての人口をカバーするだけの核シェルターが整備されています。

高い普及率の背景にあるのは、2011年まで施行されていた「すべての住居や公共施設に核シェルターを設置すること」という法律です。これにより、ほぼすべての住居や公共施設に核シェルターの設置が義務付けられ、普及が急速に進んだのです。

現在は核シェルターの設置義務はありませんが、法律には「国民一人がシェルターに避難する権利を持つ」と定められており、核シェルターの利用が国民の権利として保証されています。

イスラエル|普及率100%

イスラエルは、実際にミサイル攻撃を受けたことがある国で、スイスに並ぶ核シェルター先進国としても有名です。

イスラエルでは、1951年に制定された民間防衛法によって、すべての住宅や公共施設にシェルターを設置することが義務付けられました。その結果、人口あたりの核シェルター普及率は100%に達しています。

シェルターは各家庭や集合住宅に備え付けられており、その構造は鉄筋コンクリートで造られた専用の部屋が一般的です。さらに、地下駐車場や学校、病院、モスクなどの公共施設にも核シェルターがあり、非常時には誰もがすぐに避難できる環境が整っています。

ノルウェー|普及率98%

ノルウェーは冷戦時代から民間防衛を重視し、核シェルターの整備を進めてきた国です。

核シェルターの普及率は約98%と非常に高く、都市部を中心に地下施設や公共施設などが避難所として機能する体制が整っていました。

しかし、1998年以降は公共施設への新たなシェルター設置義務が撤廃され、メンテナンスが滞っている状況があります。

それでも最近は、ロシアとウクライナの情勢をきっかけに、再び政府が新たな避難要求の再導入を検討しており、1,000㎡を超える施設には核シェルターの設置を義務付ける方針を打ち出し始めています。

アメリカ|普及率82%

アメリカは冷戦期から核シェルターの整備を進めてきた国で、現在の普及率は約82%とされています。1960年代に政府が一般家庭にシェルター設置を推奨し、ワシントンD.C.を中心に多くの住宅に導入が広がりました。

冷戦終結後は不要になったミサイルサイロが民間に払い下げられ、高級住宅やコミュニティ型の「サバイバル・コンド」へと改造されました。現在では「VIVOS社」や「ライジングS社」といった企業が、軍の防空壕や弾薬庫を改修した堅牢な核シェルターを販売しています。

なかにはスーパーマーケットやジム、プールやシアタールームなどを備え、長期滞在を前提に設計されたものもあるのが特徴です。こうした高機能シェルターは、防災目的にとどまらず、富裕層が快適さと安心を同時に求める選択肢として注目を集めています。

ロシア|普及率78%

ロシアはソビエト時代から核シェルター整備が進められてきた国で、現在の普及率はおよそ78%と高水準にあります。

モスクワ市内だけでも7,000以上のシェルターがあるとされ、地下鉄駅も避難所として利用可能です。

ただし、ロシアの核シェルター施設については、現在も秘密情報とされているケースが多く、現在世に出ている情報も近年になってようやく公開されたものも少なくありません。

フィンランド|普及率約85%

フィンランドでは、床面積が1,200㎡を超える建築物には法律で核シェルターの設置が義務付けられており、国内には約55,000の核シェルターがあります。

国内のシェルターには最大約480万人を収容することができ、人口550万人に対するカバー率は85%と非常に高い数値です。

実際、フィンランドの首都ヘルシンキには、地下30mにも及ぶ核シェルターが存在しています。シェルターは普段は市民の憩いの場として利用されていますが、有事の際には約6,000人が避難することが可能です。

スウェーデン|普及率約70%

スウェーデンは国内に約64,000以上の核シェルターがあり、人口の約70%をカバーしているといわれています。

平時には駐車場や倉庫、店舗として使われている施設も、有事の際には短時間で避難所として転用できる仕組みが採用されているのが特徴です。

イギリス|普及率67%

イギリスの核シェルター普及率は、人口あたりおよそ67%とされています。

一部の地下施設や地下鉄駅を有事の避難場所として活用可能で、国民の多くを収容できる仕組みが維持されています。

シンガポール|普及率54%

シンガポールの核シェルター普及率は、およそ54%とされています。

1998年以降、新築住宅には核シェルターの設置が義務付けられるようになりました。

国土が小さく人口密度が高いことから、地下鉄駅や公共施設をシェルターとして利用できるよう設計されています。

韓国(ソウル)|普及率323.2%

韓国・ソウルの核シェルター普及率は323.2%と、世界的に見ても突出しています。しかしこれは「人口を大きく上回る数の避難施設が整備されている」という意味です。

また、この数値は純粋な核シェルターだけでなく、地下鉄駅や地下駐車場などの公共地下施設も避難場所としてカウントされているため、実際に核シェルターとして機能する施設は少ないともいわれています。

日本では個々の核対策が重要

核シェルター

日本では核シェルターの普及が進んでおらず、国による整備もほとんどありません。

日本政府は2024年3月に「武力攻撃を想定した避難施設(シェルター)の確保に関する基本的考え方」を公表しましたが、どの地域に避難施設を整備するのか、具体的な方針はまだ定まっていないのが現状です。

そのため、有事に備えるには個人や企業が独自に対策を講じる必要があります。

なかでも注目を集めているのが、家庭用シェルターの導入です。

家庭用シェルターとは、自宅内に設置できる避難設備のこと。放射性物質や有毒ガス、地震などの脅威から身を守ることができます。

最近では、大がかりな工事を必要としない屋内設置型やカスタマイズ性が高いシェルターも登場しており、比較的導入ハードルも低くなっています。

そのほか、防災用品・食料・水の備蓄、避難経路の確認などは、今からでも取り組める現実的な対策です。

核シェルターが普及していない日本だからこそ、このような「個人でできる対策」をしておくとよいでしょう。

核シェルターに関するよくある質問

ここからは、核シェルターに関するよくある質問に回答します。似たような疑問をお持ちの方は、ぜひここで解消しておきましょう。

核シェルター整備の先進国はどこ?

核シェルター整備の先進国としてよく知られているのはスイスです。

スイスでは、過去に法律で核シェルターの設置が義務化されていたこともあり、人口比100%の普及率を誇ります。

また、イスラエルも同様に普及率が100%に達しており、公共施設や住宅にシェルターが整備されています。ミサイル攻撃の経験を背景に、国全体で徹底した体制を築いてきました。

そのほか、ノルウェーも冷戦期から整備を進めてきた国のひとつで、普及率は98%と高い数値を誇ります。地下鉄や公共施設を避難所として活用できるよう設計されており、市民が迅速に避難できる環境が整えられています。

日本の核シェルターの場所は?

日本には、国が指定した核シェルターは存在しません。

地下街や地下鉄を利用した避難施設はあるものの、核攻撃や放射能に対応できる「国指定の避難施設」はないのが現状です。

日本にはなぜ核シェルターがないの?

日本で核シェルターが普及していない背景には、いくつかの理由があります。

まず、憲法や非核三原則の影響で「日本が核攻撃を受ける可能性は低い」と長く考えられてきたことが大きいです。そのため、国としてシェルター整備に積極的に取り組む姿勢が見られませんでした。

また、土地の狭さや都市部の人口密度も課題です。大規模な地下施設を作るには莫大な費用がかかり、スペースの確保も難しいため、計画が進みにくい状況があります。

さらに、日本では核攻撃よりも、地震や水害といった自然災害への対策をする方がより現実的で重要という意識が強いです。そのため、核シェルター整備は後回しにせざるをえなかったといえるでしょう。

核シェルターを設置するとどれくらい費用がかかる?

核シェルターの設置にかかる費用は、シェルターの種類やタイプ、性能によって大きく異なります。

家庭用の簡易シェルターなら数百万円から、本格的な地下シェルターは数千万円規模の予算が必要なのが一般的です。

なお、HANAREで取り扱っている核シェルターの費用は、以下のとおりです。

製品名 タイプ 本体価格 工事費
埋設型シェルター・

ミサイル対応シェルター

地下型 28,000,000~ 要問合せ
令和の要塞 ザバイブ 地上型 7,380,000円~ 要問合せ
最後の砦

(設置型シェルター)

屋内設置型 6,580,000円~ 要問合せ
室内設置型シェルター「放射性物質除去フィルター」 エアコン型 要問合せ 要問合せ

核シェルターの値段について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

核シェルターは意味がないって本当?

核シェルターは「直撃には耐えられないから意味がない」という意見もありますが、実際には、爆風や放射線、放射性降下物から身を守るうえで大きな役割を果たします。

厚いコンクリートや地下構造は爆風や放射線を大幅に遮断できるほか、空気ろ過システムを備えたタイプなら有害物質の侵入も防ぐことが可能です。

核爆発の被害は、爆心地から離れるほど放射線やフォールアウトの影響が中心になります。

そのため、シェルターの有無が生存率を左右する決定的な要因となるのです。直撃には無力でも「命をつなぐ最後の砦」としての意味は十分にあるといえます。

まとめ

世界各国では核シェルターが当たり前のように整備されていますが、日本の普及率は0.02%と非常に低い水準です。

国の整備が進まない中、私たちにできるのは「自分や家族を守るための個々の備え」です。家庭用核シェルターの導入や防災準備を検討し、もしものときに備えておきましょう。

核シェルターに関して「何から始めればいいのかわからない」という方は、一度 HANAREにご相談ください。最新の防災情報や導入に関するアドバイスを行い、ご家庭や企業の状況に合わせた最適なプランをご提案します。

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