台湾有事とは?日本への影響や起こる可能性、個人でできる備えをわかりやすく解説

近年、「台湾有事」という言葉を耳にする機会が増えています。
これは、中国と台湾の緊張関係が高まり、軍事衝突やそれに伴う国際的な危機が発生する可能性を指すものです。
日本は台湾と地理的にも経済的にも密接な関係を持っており、万が一の際には大きな影響を受けると考えられています。
とはいえ、「台湾有事は実際に起こるのか」「もし起きたら日本はどうなるのか」など、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、台湾有事の意味や背景、日本への影響から起こる可能性、さらに個人ができる備えまでをわかりやすく解説します。
台湾有事とは
「台湾有事」とは、中国が台湾へ武力行使をしたり、台湾海峡で衝突が発生したりするシナリオのことです。
中国側は台湾を「中国の一部」と位置づけている一方、台湾は独自の政府・経済体制を維持しており、国際社会との関係も深めています。
このような主張・立場の違いから、両国の間では長年にわたって摩擦が起きてきました。
実際、中国は過去に台湾地域への砲撃を行ったことがあるほか、近年も軍事演習などで圧力をかけており、両国の間では緊張状態が続いています。
そして、隣国である日本にとっても台湾は地理的に近く、輸送ルートや安全保障上の要衝です。
つまり「台湾有事」は、台湾・中国間だけの問題ではなく、日本の経済や生活に直結するリスクといえるのです。
台湾有事が今注目されている理由
台湾有事が注目を集めている背景には、近年の国際情勢の変化があります。
まず、近年の中国は急速に成長しており、軍事力も拡大したことから、台湾周辺での軍事演習が常態化しています。こうした行動は「台湾統一」を視野に入れた圧力の一環とみられており、緊張感を高める要因となっています。
また、アメリカは台湾を「民主主義陣営の要」と位置づけており、長期間にわたって軍事的・経済的に支援を行ってきました。
過去にはバイデン大統領が「中国が台湾に侵攻したらアメリカ軍が台湾を防衛する」とも明言しており、台湾有事によってアメリカと中国という大国がぶつかり合うリスクが懸念されています。
Joe Biden has again said US forces would defend Taiwan in the event of a Chinese invasion, in his most explicit statement so far on the issue.
引用元:Joe Biden again says US forces would defend Taiwan from Chinese attack|The Guardian |
こうした要因から、「台湾有事」は単なる地域問題ではなく、世界の安全保障と経済の安定に直結する重大課題として注目されているのです。
台湾有事で中国とアメリカが対立するのはなぜ?
台湾有事を語るうえで欠かせないのが、中国とアメリカの対立構造です。
中国は「台湾は自国の一部であり、統一は必然」と主張しており、独立を強める動きや外国からの支援に強く反発しています。
一方、アメリカは台湾を民主主義国家として支援し、「台湾関係法」に基づいて防衛面でも一定の協力を続けてきました。
この立場の違いが、台湾有事をめぐる最大の火種となっています。
中国は軍事演習やミサイル発射を繰り返すことで圧力を強める一方、アメリカは台湾周辺に艦艇を派遣したり、武器供与を行ったりすることで対抗。両国の動きが互いの警戒心を高め、緊張がエスカレートしているのです。
さらに台湾は、アメリカにとって経済的・地理的にも重要な存在であることも両国が対立する要因の一つです。
台湾の半導体産業は先端技術の供給源であり、軍事や経済の両面でアメリカの戦略に直結しています。また、台湾が中国のものとなれば、中国が太平洋へ容易に進出できるようになってしまう点もアメリカにとってはリスクとなるでしょう。
このような背景から、台湾有事が米中の対立につながっているのです。
台湾有事における日本の立ち位置
台湾有事をめぐっては、米中で対立が起きていますが、日本はどのような立場をとっているのでしょうか。
「日本は台湾を国として認めている」と誤解されがちですが、実は日本政府は台湾を国として正式に認めてはいません。
実際、外務省のホームページでは、台湾有事における日本の立場について、以下のように明記されています。
問10.台湾に関する日本の立場はどのようなものですか。
台湾との関係に関する日本の基本的立場は、日中共同声明にあるとおりであり、台湾との関係について非政府間の実務関係として維持してきています。政府としては、台湾をめぐる問題が両岸の当事者間の直接の話し合いを通じて平和的に解決されることを希望しています。 引用元:よくある質問集|外務省 |
つまり、日本と台湾は国や政府同士ではなく、あくまでも実務レベルでの交流関係を維持するということです。
また、1972年の日中共同声明では、台湾について「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。」と記されています。
これらを踏まえると、日本は「台湾は中国の一部」と考えているともいえるでしょう。
ただし、日本は日米同盟を基盤とする安全保障体制を築いており、アメリカが台湾有事に介入した場合、日本の在日米軍基地が出撃拠点となる可能性が高いといわれています。
また、2025年7月には、トランプ政権が日本やオーストラリアに対して台湾有事で米中が衝突した際の役割の明確化を求めたとの報道もあります。
これらを踏まえると、日本は事実上「台湾は中国とは別の国」という立場で台湾有事に関与する可能性があるといえるのです。
もし台湾有事が起きたら?現実的な日本への影響
台湾有事が起きた場合、日本は経済・安全保障の両面で大きな影響を受けると予想されています。
まず懸念されるのが物流の混乱です。
台湾周辺の海域は、日本にとってエネルギーや物資の主要な輸送ルートとなっており、有事になれば航路が封鎖される可能性があります。これにより、輸入品の遅延や供給不足が発生し、物価の高騰につながるでしょう。
さらに、台湾は世界の半導体生産の中心地であり、TSMCをはじめとする先端メーカーの製品に日本の自動車や電子機器産業は依存しています。
そのため、有事で生産や輸出が止まれば、世界規模での半導体不足が発生し、日本経済にも深刻な打撃を与えることは避けられません。
安全保障面では、在日米軍基地が台湾有事の出撃拠点となる可能性が高く、日本の米軍関連施設やその周辺地域が攻撃対象となるリスクも指摘されています。
こうした事態は直接的な軍事的緊張を招き、日本国民の安全に関わる事態に発展しかねません。
台湾有事は起こらない?起こる可能性は?
台湾有事の可能性については、専門家や国際機関の間でも意見が分かれています。
中国は台湾統一を国家目標として掲げている一方で、現実には軍事衝突に踏み切れば国際社会からの制裁や経済的損失が甚大となるため、「当面は起こらない」とする見方も多いのが現状です。
実際、アメリカや日本をはじめとする同盟国は、中国に対して軍事行動を抑止する姿勢を維持しており、中国側も無理に行動を起こせば世界経済に大きな打撃を与えることを理解しています。
そのため、緊張は続いていても、必ずしもすぐに戦争へ発展するわけではないのです。
ただし、台湾有事が「絶対に起こらない」と断言できるわけではありません。政治情勢や国際関係が変化すれば、突発的に衝突が発生する可能性もあります。
台湾有事が起こるとしたらいつ?
台湾有事がいつ起こるのかを正確に予測するのは不可能です。しかし、専門家の間では可能性としていくつかの時期が予想されています。
その中でよく取り上げられるのが「2027年説」です。
これは中国人民解放軍が創設100周年を迎える年であり、習近平政権が軍の近代化をこの年までに完了させる目標を掲げていることから、「このタイミングで台湾に対して強硬姿勢を示す可能性がある」と指摘されています。
しかし、2027年に必ず有事が起こるというわけではなく、あくまでも一つのシナリオに過ぎません。
むしろ中国自身も経済的リスクや国際的孤立を避けるため、武力行使を先延ばしにする可能性が高いという見方もあります。
台湾有事に備えて個人ができること
台湾有事は国家間の問題であり、個人が直接防ぐことはできません。
しかし、有事の影響は私たちの生活にも及ぶ可能性が高いため、日常生活の中でできる備えを整えておくことが重要です。
ここからは、個人が取り組める現実的な対策を3つの視点から紹介します。
食料品・飲料水の備蓄

有事が発生すると、まず影響を受けるのが物流です。輸送が滞ればスーパーやコンビニの商品が不足し、食料や水の入手が難しくなる可能性があります。
そのため、最低でも3日分、できれば1〜2週間分の食料と飲料水を備蓄しておくと安心です。
飲料水は1人あたり1日3リットルを目安に確保し、ペットボトルの水や保存水を常備しておきましょう。
食料はレトルト食品、缶詰、乾麺、シリアル、栄養補助食品など、調理が簡単で長期保存できるものがおすすめです。
避難準備
台湾有事の影響が拡大すれば、場合によっては避難が必要になる可能性もあります。
そのため、日頃から非常用持ち出し袋を準備しておくことが重要です。飲料水や保存食、懐中電灯、モバイルバッテリー、常備薬、衛生用品、簡易トイレなどを入れておき、いつでも避難できるようにしておきましょう。
また、停電や通信障害に備えて、家族や親しい人と連絡手段を確認しておくことも欠かせません。災害用伝言ダイヤルやSNSを使った安否確認の方法を共有しておけば、混乱時にも安心です。
さらに大切なのは、家族内で避難計画を話し合っておくことです。
「どこに集合するのか」「どのルートで避難するのか」をあらかじめ決めておくことで、いざという時の行動がスムーズになります。
特に小さな子どもや高齢者、ペットがいる家庭では、移動にかかる時間や必要な持ち物も考慮して準備しておきましょう。
避難シェルターの設置
台湾有事のように国際的な緊張が高まる中で、最悪の事態を想定した備えとして注目されているのが避難シェルターです。
家庭用の避難シェルターとは、自宅に設置することで爆発の衝撃や放射性物質、有毒ガスなどから身を守れる施設のこと。近年は、地下に設置するタイプや屋内に置けるコンパクトなタイプなど、さまざまな種類が登場しています。
現在日本には、核攻撃や放射性物質に対応した公的なシェルターは整備されていません。そのため、軍事衝突が懸念される台湾有事においては、自宅にシェルターを導入することが「自分と家族を守る最後の砦」となります。
なお、HANAREでは、日本での導入実績No.1を誇るWNIシェルターを取り扱っています。ご家庭の環境やご予算に合わせたシェルターの提案が可能ですので「避難先を自宅に確保したい」「家族を守れる備えを整えたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
台湾有事に関するよくある質問
台湾有事についてはニュースや解説記事が増えているものの、具体的にどんな影響があるのかわかりにくい部分も多いのではないでしょうか。
そこでここでは、台湾有事についてよく寄せられる疑問を取り上げ、わかりやすく解説します。似たような疑問をお持ちの方は、ぜひここで解消しておきましょう。
台湾有事で想定されている日本の死者数は?
結論から言うと、台湾有事に関して日本国内の死者数が具体的に想定されているわけではありません。
台湾と中国の間で軍事的衝突が発生しても、日本本土が直接戦場になる可能性は低いため、日本の死者数を予測した公式データは存在していないのです。
ただし、在日米軍基地が関与する場合や、日本周辺の海域・空域で戦闘が起きた場合、攻撃に巻き込まれるリスクはゼロとはいえません。
実際に沖縄や南西諸島では、住民避難計画の検討が進められており、自治体単位での備えが求められています。
台湾有事で日本が攻撃されるとしたらどこ?
台湾有事による日本への攻撃が懸念されるのは、在日米軍基地が集中する地域です。
アメリカが台湾支援に軍事介入した場合、中国が日本国内の米軍施設を攻撃対象とみなす可能性があるためです。
中でも沖縄県は在日米軍の拠点が多く、地理的にも台湾に近いことからリスクが指摘されています。
実際に沖縄県や周辺自治体では、有事を想定した住民避難計画の検討やシミュレーションが進められています。
いわゆる「台湾有事」などを念頭に、政府は、沖縄の離島からの避難計画を初めてまとめ公表しました。住民らおよそ12万人を6日程度で避難させ、九州や山口県の合わせて32の市や町で受け入れるなどとしています。 |
また、横須賀や三沢など本州にある米軍基地も重要拠点であり、緊張の度合いによっては影響を受ける可能性も否定できません。
とはいえ、これらはあくまでも「可能性の話」であり、必ず攻撃されるというものではありません。
重要なのは、政府や自治体がリスクを前提に防災計画を立てている点と、私たち一人ひとりも備えを意識しておくことです。
まとめ|台湾有事に備えるならHANAREにご相談を
本記事では、台湾有事の概要やリスク、起こる可能性などについて詳しく解説しました。
台湾有事は「遠い国の出来事」ではなく、日本の経済や安全保障、そして私たちの生活にも直結する現実的なリスクです。
実際に起きた場合、物流の混乱や物価高騰、半導体供給の途絶といった経済的影響に加え、在日米軍基地をめぐる安全保障上の懸念も存在します。
起こる可能性は断定できないものの、万が一に備えておくことが重要です。
個人レベルでできる備えとしては、食料や水の備蓄、非常用持ち出し袋の準備、避難計画の共有などがあります。
そして最悪の事態に備える方法の一つが、自宅に避難シェルターを設置することです。核やミサイルといったリスクに対して「最後の砦」となり、家族の安全を確保できます。
HANAREでは、ご家庭やご予算に合わせたシェルターの提案・設計・導入まで一貫してサポートしています。「備えを整えたいが、何から始めればいいかわからない」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。