2025.09.01

耐震シェルターとは?メリット・デメリット、費用や補助金について解説

災害シェルター
耐震シェルターとは?

近年、南海トラフ巨大地震などの発生が懸念されるなか、「もし自宅や会社が倒壊したら安全を確保できるのか」と不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

そのような備えとして注目されているのが「耐震シェルター」です。

建物の一部や家具を改修・設置することで、地震時に身を守る空間を確保できるシェルターは、命を守る“最後の砦”ともいわれています。

とはいえ、「そもそも耐震シェルターとはどんなものなのか」「導入にどれくらいの費用がかかるのか」「メリットとデメリットを正しく理解したい」と疑問を持つ方も少なくありません。

そこで本記事では、耐震シェルターの概要や必要性から、導入するメリット・デメリット、費用や補助金制度のポイントまでわかりやすく解説します。

耐震シェルターの導入を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

耐震シェルターとは?

耐震シェルター

耐震シェルターとは、地震による建物倒壊から命を守るために設置される安全空間のことです。

住宅全体を耐震補強するのではなく、一部の空間を強化して「万が一の避難場所」として機能させるのが特徴。主に鉄骨やコンクリート、強化木材などの頑丈な素材を用い、天井や壁の落下物に耐えられるよう設計されています。

最近では、有事の際以外は仕事部屋やシアタールームとして使える製品も増えており、これまでよりも身近な存在となっているといえるでしょう。

耐震シェルターは単なる防災設備ではなく、限られた投資で家族や従業員の命を守る現実的な選択肢として注目を集めています。

耐震シェルターのタイプ

耐震シェルターには主に「家具型」「屋内型」「屋外型」の3種類があり、それぞれで以下のような違いがあります。

タイプ 特徴 設計強度の目安
家具型(ベッド・テーブル) コンパクトで導入しやすい。寝室やリビングで使用可能 数トン程度の荷重に耐える
屋内型 一部屋をシェルター化。家族全員で避難可能 数十トン級の倒壊荷重に耐える
屋外型 庭などに設置。耐火・放射線対応モデルもあり。一部室内に設置できるタイプも。 十数トン〜数百トンの衝撃に耐える

家具型はベッドやテーブルの形をしており、日常生活に組み込みやすく、省スペースで導入できるのが特徴です。

家具型の耐震シェルター

屋内型は部屋全体を強化してシェルター化するタイプで、家族が一度に避難できる安心感があります。

部屋型シェルター

屋外型は鉄製やコンクリート製のコンテナを庭や敷地内に設置するもので、耐火・耐爆性能を備えた高性能モデルも存在します。

コンテナ型シェルター

それぞれの耐久性能は製品によって異なりますが、家具型でも数トンの圧力に耐えられる設計が多く、屋外型では十数トンの耐荷重を誇るものもあります。

どのタイプを選ぶべきかは、設置スペースや予算に応じて選ぶのがよいでしょう。

なお、HANAREではご希望やご予算に合わせて、最適な耐震シェルターの提案を行っております。「耐震シェルターを導入したいけど、どんなタイプがいいのかわからない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

耐震シェルターは必要?

日本は世界でも有数の地震多発国であり、南海トラフ巨大地震や首都直下地震など、近い将来に発生するとされる大規模地震への備えが求められています。

また、過去に発生した阪神・淡路大震災では、亡くなった方の多くは「建物の倒壊による圧死」が原因でした。

こうした背景から、家全体を耐震化するのが難しい場合でも、最低限命を守れる空間として耐震シェルターの必要性が高まっています。

また、国や自治体も耐震対策を推進しており、一部ではシェルター設置に対する補助金制度が用意されていることも注目すべき点です。

実際に市場規模も拡大傾向にあり、企業や個人の間での導入事例も増えています。コスト面でのハードルはありますが、倒壊リスクの高い住宅や事業所においては「命を守る最後の砦」として、耐震シェルターは現実的な選択肢といえるでしょう。

なお、HANAREでは耐震シェルターの導入事例もご紹介していますので、気になる方はこちらもチェックしてみてください。

耐震シェルターのメリット

ここからは、耐震シェルターの具体的なメリットを以下4つの視点から順番に解説していきます。

  • 家全体の耐震化よりもリーズナブル
  • 万が一のときにすぐに避難できる
  • 家に住みながら工事できる
  • 日常使いができるものもある

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

家全体の耐震化よりもリーズナブル

シェルター

耐震対策と聞くと、住宅全体を補強する「耐震リフォーム」を思い浮かべる方も多いでしょう。

しかし、築年数が古い木造住宅や大規模な建物では、耐震工事に数百万円から1,000万円以上かかるケースも珍しくありません。また、工事期間中は生活スペースが制限されるなど、時間的・経済的な負担が大きいのも気になります。

その点、耐震シェルターは建物全体を補強する必要がなく、特定の空間を強化するだけで命を守れるのがメリットです。

家具型や屋内型であれば数十万円〜数百万円程度で導入できるため、家全体を改修するよりもはるかに低コストで済む点も魅力といえます。

このように、コストと耐震化のバランスを考えた場合、耐震シェルターは現実的な選択肢といえるでしょう。

万が一のときにすぐに避難できる

耐震シェルターに避難している様子

大地震は予測できず、発生から数十秒で建物が倒壊するケースも少なくありません。そのため「いかに素早く安全な場所へ避難できるか」が命を守る鍵になります。

その点、耐震シェルターは自宅やオフィスの中に設置するため、地震が起きたときに迅速に避難できるのが大きなメリットです。

特に夜間や就寝時は、屋外の避難場所まで移動するのが困難ですが、ベッド型シェルターならその場で安全空間に身を隠すことができます。

また、屋内に部屋ごとシェルターを設ければ、家族が同じ空間に避難できるため、混乱時でも安心感があります。

外に出る必要がないことは、余震や火災など二次災害から身を守る点でも有効です。迅速に避難行動をとれる耐震シェルターは、「逃げ遅れを防ぐための最後の砦」として非常に有効な備えといえるでしょう。

家に住みながら工事できる

耐震補強工事や建て替えとなると、長期間にわたって仮住まいが必要になったり、生活動線が大きく制限されたりすることがあります。

その点、耐震シェルターは家の一部や家具を強化する工事が中心となるため、大規模な改修工事を必要としません。部屋の一角をシェルター化するタイプや家具型シェルターであれば、1日〜1週間ほどで施工が完了するケースも多く、工事中も普段どおりの生活を続けられます。

このように、生活への影響を最小限に抑えつつ防災対策を実現できるのが、耐震シェルターならではのメリットといえるでしょう。

日常使いができるものもある

核シェルターの内部でくつろぐ人

耐震シェルターというと「非常時だけに使う設備」というイメージを持つ方も多いかもしれません。

しかし近年は、普段の生活でも活用できる耐震シェルターも登場しています。たとえば、ベッド型シェルターは通常のベッドとして使用できるため、就寝時の快適さを保ちながら緊急時にはそのまま避難空間として機能します。

また、書斎や防音室として利用できる屋内シェルターもあり、在宅ワークのスペースや趣味部屋として日常的に活用することも可能です。

実際、当社が取り扱うWNIの耐震シェルターには、酸素カプセルやシアタールームとして日常的に利用できるものもあります。

このように「災害時の備え」と「日常生活の快適性」を両立できるシェルターは、防災意識を高めながら無理なく導入できる選択肢といえるでしょう。

耐震シェルターのデメリット

耐震シェルターは、比較的手軽に安全空間を確保できる点で注目されていますが、導入にあたってはいくつかのデメリットや注意点も理解しておく必要があります。

ここからは、耐震シェルターのデメリットとして、以下5つを見ていきましょう。

  • シェルター以外の部分は耐震化されない
  • シェルター代・工事代がかかる
  • 日常生活で邪魔に感じる可能性がある
  • メンテナンスに手間がかかる
  • 設置場所に制約がある

それぞれ詳しく解説します。

シェルター以外の部分は耐震化されない

耐震シェルターは、特定の空間を強化して命を守ることを目的としています。

そのため、建物全体の耐震性能を高めるわけではなく、シェルター以外の部屋や構造部分は従来の強度のまま残ってしまう点に注意が必要です。

特に築年数が古い住宅や旧耐震基準で建てられた建物では、家全体の強度不足が大きな課題となります。

シェルターを導入すれば、古い建物であっても「命を守る最低限の空間」を確保できますが、「建物全体の安全性」が担保されるわけではないことを覚えておきましょう。

シェルター代・工事代がかかる

耐震シェルターの導入には、シェルターの本体代や設置工事費が発生します。

家具型シェルターであれば数十万円程度から導入可能ですが、屋内型やコンテナ型のように規模が大きくなると数百万円以上かかるケースも珍しくありません。

さらに、基礎工事や搬入にクレーンを使う場合には追加費用が必要となり、想定よりも高額になることもあります。

導入を検討する際には「本体代のみ」で判断せず、工事費や運搬費、補強費用などを含めた総額で見積もることが重要です。

また、設置する場所や建物の構造によっても費用は大きく変動するため、複数の業者から相見積もりを取るとよいでしょう。

詳細な費用相場については、「耐震シェルターの設置にかかる費用」で詳しく解説しますので、あわせて確認してみてください。

日常生活で邪魔に感じる可能性がある

地上設置型の核シェルター

耐震シェルターは、敷地内や自宅内に設置することが多いため、日常生活の動線や居住空間に影響を及ぼす可能性があります。

特に都市部の狭小住宅やマンションでは、限られた面積にシェルターを設置することで圧迫感が出てしまうケースも少なくありません。

命を守るという観点では大きな安心感が得られますが、日常生活とのバランスを考慮したうえで導入を検討することが重要です。

メンテナンスに手間がかかる

耐震シェルターは一度設置すれば安心、というものではありません。

いつ来るかわからない大地震に備えて常に性能を維持するためには、定期的な点検や部品交換といったメンテナンスが欠かせないのです。

特に、換気装置やフィルター、バッテリーを備えた高機能モデルでは、数年ごとに交換や検査が必要となり、その分の費用や手間が発生します。

点検を怠れば、いざというときに換気が不十分であったり、内部環境が保てなかったりするリスクもあるので注意しましょう。

導入を検討する際には、「どのくらいの頻度で」「どの設備を」「どれくらいのコストで」メンテナンスする必要があるのかを事前に確認しておくことが、後悔しない導入につながります。

設置場所に制約がある

耐震シェルターはタイプごとに設置条件が異なり、導入の自由度が限られる場合があります。

特に家具型シェルターは室内に簡単に置ける手軽さがある一方で、建物自体の耐震性に依存する側面が大きく、設置は1階部分が推奨されるケースがほとんどです。

これは、上階に設置した場合に建物全体の倒壊リスクや重量負担が増し、十分な安全性を確保できないおそれがあるためです。

また、屋外型シェルターでは、庭や駐車場といった広いスペースが必要となり、都市部の住宅では設置自体が難しいケースも少なくありません。

このように、耐震シェルターは「設置できる環境が限られる」という制約を伴うため、導入前には自宅の構造・敷地条件を十分に確認することが大切です。

耐震シェルターの設置にかかる費用

耐震シェルターの設置にかかる費用の目安は、以下のとおりです。

タイプ 材質 価格目安
部屋型 木・鉄など 約20万円〜450万円
コンテナ型 鉄・コンクリート・鉛など 約400万円〜1,300万円
ベッド型 鉄・鋼・強化スチールなど 約25万円〜100万円
テーブル型 鉄・鋼・強化スチールなど 約20万円〜60万円

なお、シェルターの価格は「本体代」と「設置工事費」の合計で考える必要があります。搬入方法や設置場所の状態によっては、高額な設置工事費がかかる可能性がある点に注意しましょう。

また、設置後は定期的なメンテナンスなどの維持費もかかるので、必ず事前に「総額」で見積もりをもらうことが大切です。

耐震シェルターの値段はいくら?設置費用や本体価格の相場をタイプ別に解説

耐震シェルターには補助金制度を利用できる

耐震シェルターの設置費用は決して安くありませんが、一部の自治体では補助金制度を活用できるケースがあります。

たとえば東京都や大阪市などでは、設置費用の一部を助成する制度があり、上限30万円程度の補助金が支給される例もあります。

ただし、対象となる住宅の築年数や耐震診断の実施が条件となる場合も多いため、事前に自治体の防災課や公式ホームページで確認しておくことが重要です。

詳しくは、以下の記事でも解説しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

耐震シェルター設置に使える補助金を自治体別に紹介|費用や安く抑えるコツについて

耐震シェルターに関するよくある質問

最後に、耐震シェルターに関するよくある質問とその回答を紹介します。似たような疑問をお持ちの方は、ここで解消しておきましょう。

耐震シェルターは自作できる?

結論から言えば、耐震シェルターを自作することは不可能ではありません。鉄骨や木材を使い、簡易的に「倒壊から身を守る空間」をつくることは理論上可能です。

しかし、シェルターは数トン〜数十トンもの倒壊荷重に耐える強度が求められるため、専門知識や構造計算が欠かせません。独自に製作した場合、強度不足で実際の地震には耐えられないリスクが非常に高いことを覚えておきましょう。

安全性と信頼性を確保するためには、やはり専門メーカーや施工業者の製品を選ぶのが賢明です。

おすすめの耐震シェルターはどれ?

耐震シェルターには多様なタイプ・価格帯がありますが、特におすすめできる製品をいくつかご紹介します。

製品名 タイプ サイズ(最小) 価格(税込) 強度実証実験
WNI Shelter ・屋内設置型

・家具型

・屋外型

カスタマイズ可 要問合せ 50t~74t(製品によって異なる)の強度実験
木質耐震シェルター 屋内設置型 2492mm×2390mm×2110mm~ 45万1000円~ ・実大家屋倒壊実験

・木質耐震シェルター落下実験

・木質耐震シェルター防護性能確認実験(3t)

安全ボックス 屋内設置型 要問合せ 242万円(税込) 34トンの圧力試験

※価格は参考目安です。設置場所や仕様によって変動するため、詳細は各社公式ページでご確認ください。

詳しくは、以下の記事でも紹介しているので、ぜひシェルター選びの参考にしてください。

信頼できる耐震シェルターメーカーはどこ?大手・有名どころや見極め方を解説

耐震シェルター以外の地震対策は?

耐震シェルターは地震に対する強力な備えですが、導入が難しい場合は他の防災対策を組み合わせることも重要です。

まず基本となるのが、住宅の耐震診断と耐震補強工事です。特に、旧耐震基準で建てられた建物は倒壊リスクが高いため、自治体の制度を利用して耐震診断を受け、必要に応じて補助金を活用して耐震化を進めることが推奨されます。

加えて、家具の固定や転倒防止金具の設置、食料品の備蓄や避難経路の確認なども大切です。耐震シェルター単体に頼るのではなく、住宅の補強や日常的な防災意識とあわせて総合的に備えることを心がけましょう。

まとめ

耐震シェルターは、地震による建物倒壊から命を守るための“最後の砦”として注目されています。家具型・屋内型・屋外型などタイプはさまざまで、それぞれコストや設置条件、耐久性能に違いがあります。

導入のメリットとしては、家全体の耐震化よりも低コストで設置でき、災害時に即座に避難できること、工事期間中も普段どおり生活できること、さらには日常使いが可能な製品がある点などが挙げられます。

一方で、シェルター以外の部分は耐震化されない、費用やメンテナンスがかかる、設置場所に制約があるといったデメリットも理解しておきましょう。

HANAREでは、耐震シェルターの導入について丁寧なヒアリングから提案、設計・導入まで一貫したサポートが可能です。「一度費用感だけでも聞いてみたい」「自宅に設置できるかどうかだけでも確認したい」といった方も、ぜひお気軽にご相談ください。

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