マンションでも耐震シェルターは設置できる?メリット・デメリットや費用を解説

「マンションでも耐震シェルターを設置できるの?」
「マンションに耐震シェルターを設置するメリットは?」
耐震シェルターの設置を検討していてもこのような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
戸建住宅と違い、庭や地下スペースを活用できないマンションでは、設置の自由度が限られるため、導入が難しいと感じてしまう方もいるはずです。
しかし、近年は室内に置けるタイプや、家具の形をしたベッド型・テーブル型、さらには押し入れを利用できるタイプなど、限られたスペースでも対応できるシェルターが登場しています。
本記事では、マンションに設置可能な耐震シェルターの種類や特徴、メリット・デメリット、費用や補助金制度についてわかりやすく解説します。導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
耐震シェルターはマンションでも設置できる?
結論から言えば、耐震シェルターはマンションでも設置可能です。
「耐震シェルターの設置には庭や地下スペースが必要」と思われがちですが、近年は室内に置けるタイプや家具型など、省スペースで導入できる製品が増えています。
たとえば、ベッド型シェルターや押し入れやクローゼットを活用するタイプであれば、マンションの限られた間取りでも導入しやすく、日常空間を圧迫することもありません。
もちろん、戸建住宅に比べると設置場所に制約はありますが、各メーカーが都市部のニーズに合わせたシェルターを開発しており、カスタマイズ性の高いモデルも登場しています。
「マンションだから無理」と考える必要はなく、実際には用途や間取りに応じた選択肢が複数存在しているのです。
なお、HANAREではカスタマイズ性の高いWNI社の耐震シェルターを豊富に取り扱っています。設置場所やご予算に応じて最適な提案をさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。
マンション暮らしでも耐震シェルターは必要?
「マンションは構造が強いから安全」と思われがちですが、実際にはマンションにも耐震シェルターの必要性があります。
実際、過去に発生した阪神・淡路大震災や東日本大震災では、倒壊や家具の転倒による圧死でも多くの犠牲を生みました。
また、マンションでは、地震時にエレベーターが停止して避難経路が断たれる、階段が混雑して迅速な避難が難しいといった課題もあります。
そのような状況下で、自宅内に一時的に身を守れる空間があることは非常に有効です。
さらに、耐震補強工事はマンション全体での合意や大規模修繕が必要となるため、個人の判断だけでは進めにくいのが現実です。
その点、室内設置型や家具型のシェルターなら、各家庭ごとに導入でき、家族の安全を守る選択肢となります。小さなお子さんや高齢者のいる家庭では特に、避難が遅れるリスクを減らすうえで有効な備えといえるでしょう。
マンションに設置できる耐震シェルターの種類
マンションでも設置できる耐震シェルターの種類には、以下のようなものがあります。
タイプ | 特徴 | 設置しやすさ |
室内設置型(キャビンタイプ) | 部屋に小型キャビンを設置。家族全員が避難可能 | ◎ |
家具型(ベッド・テーブル) | 普段は家具として使用。緊急時は避難空間に | ◎ |
押し入れ・クローゼット型 | 既存収納をシェルター化。省スペースで導入可 | 〇 |
それぞれのタイプの特徴について、詳しく見ていきましょう。
室内設置・キャビンタイプ
室内設置型・キャビンタイプの耐震シェルターは、マンションでも比較的導入しやすい代表的なタイプです。
部屋の一角に鉄骨や木材で作られたキャビンを設置し、その内部を「避難空間」として活用します。
外観はシンプルな小部屋のような形状で、就寝時や在宅時にすぐ避難できるのが魅力。サイズは1〜2人用から家族全員が入れる広さまで幅広く、居住空間に合わせて選ぶことができます。
また、施工も大規模な基礎工事を必要とせず、数日程度で設置できるケースが多いため、マンション特有の「大規模修繕の合意が必要」といった制約を回避できる点もメリットです。
耐荷重性能は数十トンに耐えられる製品もあり、天井や壁の倒壊から確実に身を守ることができます。
設置スペースは必要になりますが、安全性と利便性を両立した実用的な選択肢といえるでしょう。
家具タイプ
家具タイプの耐震シェルターは、普段はベッドやテーブルとして利用できる点が大きな特徴です。
特にマンションのようにスペースに限りがある環境では、省スペースで設置できる家具型が人気を集めています。
たとえばベッド型シェルターは、通常のベッドとして日常的に使いながら、地震発生時にはそのまま避難空間として機能します。就寝中に突然大地震が発生しても、移動せずに即座に安全を確保できるのは大きな安心材料です。
また、テーブル型シェルターはリビングやダイニングに設置でき、食卓や作業台として利用しつつ、緊急時には天井や家具の落下物から身を守れます。
いずれも数トンの荷重に耐える強度を備えており、耐震性能と生活の利便性を両立できる点が魅力です。狭小住宅や限られた間取りのマンションにおいて、実用性の高い選択肢といえるでしょう。
押し入れ・クローゼットタイプ
マンション向けの耐震シェルターには、室内設置型や家具型以外にも、スペースを有効活用できるタイプがあります。
代表的なのが押し入れやクローゼットを改造してシェルター化するタイプです。
収納スペースをそのまま活用できるため、居住空間を圧迫せずに導入できるのが大きなメリット。通常の収納機能を一部残したまま設置できる製品もあり、日常生活に支障をきたしにくい点も魅力といえるでしょう。
また、既存の間取りに合わせてオーダーメイドで設計されるシェルターもあり、狭小マンションや間取りが特殊な住宅でも導入可能です。
こうしたタイプは費用がやや高額になる傾向はありますが、その分、自宅環境に合わせて柔軟に対応できる点で評価されています。
耐震シェルターをマンションに設置するメリット
マンションに住んでいると、「建物自体が頑丈だから大丈夫」と考える方もいますが、実際には地震時に避難経路が塞がれる、エレベーターが停止する、階段が混雑するなど、一軒家にはないリスクも存在します。
そんな中で、自宅内に耐震シェルターを設置することで得られるメリットは非常に大きいといえます。
ここからは、マンションに耐震シェルターを設置する具体的なメリットとして、以下2つを見ていきましょう。
- 簡易施工・短期間で自宅の耐震補強ができる
- 自宅内に安全性の高い避難場所が確保できる
それぞれ詳しく解説します。
簡易施工・短期間で自宅の耐震補強ができる
マンションの耐震補強工事は、自宅だけの判断では進められないケースが多く、管理組合の合意や大規模修繕と一体で行う必要がある場合もあります。
そのため、工事の実施までに時間がかかったり、多額の費用がかかったりすることが少なくありません。
一方、耐震シェルターであれば、各家庭ごとに独自で導入でき、大規模工事を伴わずに短期間で設置が可能です。
家具型や室内キャビン型なら、1日〜1週間程度で施工が完了することも多く、工事中も普段どおり生活できるのも利点です。
また、費用面もマンション全体の耐震補強に比べて負担が軽く、必要な空間を限定的に耐震化できるため、コストパフォーマンスの高い方法といえます。
「すぐに安全空間を確保したい」「大掛かりな工事は避けたい」という方にとって、耐震シェルターは現実的で有効な選択肢となるでしょう。
自宅内に安全性の高い避難場所が確保できる
マンションに住んでいるときに大地震が発生した場合、エレベーターの停止や階段の混雑によって、すぐに屋外へ避難することが難しくなるケースが少なくありません。
特に夜間や悪天候時、小さなお子さんや高齢者がいる家庭では、安全な場所まで移動すること自体に大きなリスクを伴います。
その点、耐震シェルターを自宅内に設置しておけば、わずか数秒で安全空間に身を隠すことができ、避難の遅れによる被害を防ぐことが可能です。
避難経路が遮断されるおそれがあるマンションだからこそ、家庭内に確実な避難場所を確保できることは大きな安心材料となるでしょう。
耐震シェルターをマンションに設置するデメリット
耐震シェルターは、マンションでも比較的導入しやすい防災設備ですが、設置にあたってはメリットだけでなく注意点も理解しておく必要があります。
ここからは、耐震シェルターをマンションに設置するデメリットとして、以下の3点を紹介します。
- 設置可能なシェルターの種類やサイズが限られる
- メンテナンスの手間がかかる
- シェルターの設置にはお金がかかる
それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
設置可能なシェルターの種類やサイズが限られる
マンションに耐震シェルターを設置する際、最も大きな制約となるのが種類やサイズの制限です。
戸建住宅であれば庭や地下スペースを活用して大型のコンテナ型や埋設型を導入できますが、マンションでは敷地や構造上の理由からそれらはほぼ不可能です。
そのため、導入できるのは室内設置型や家具型が中心となり、広さや収容人数にも限りがあります。
また、室内設置型や家具型は比較的導入しやすいものの、一度設置するとレイアウト変更や生活動線に制約が生じる可能性がある点にも注意が必要です。
このように、マンションでは「置けるシェルターの選択肢」が限られるため、自宅の広さやライフスタイルに適したタイプを慎重に選ぶことが重要です。
メンテナンスの手間がかかる
マンションに設置する耐震シェルターは、導入後も継続的な維持管理が必要な点にも注意しましょう。
特に換気ファンや照明といった付属設備を搭載したモデルでは、消耗品の交換や作動確認が必要になり、年単位で点検スケジュールを立てることが求められます。
これらの作業はメーカーや施工業者に依頼しなければならないケースが多く、費用や手間が発生する点には注意が必要です。
マンションに耐震シェルターを導入する際は「置くだけで終わり」ではなく、長期的に安全性を維持できるかどうかを考慮することが大切です。
シェルターの設置にはお金がかかる
耐震シェルターをマンションに導入する際のハードルのひとつが「導入費用」です。
家具型であれば数十万円程度で導入できるものもありますが、室内設置型やキャビンタイプになると数百万円かかるケースも珍しくありません。
さらに、搬入や施工にかかる費用も別途必要で、マンションではエレベーターのサイズや共用部分の利用制限により追加費用が発生する可能性があることを覚えておきましょう。
なお、近年は政府が住宅の耐震化を推奨していることもあり、自治体によっては耐震改修や耐震シェルター設置に対して補助金を用意しているケースがあります。
詳しい条件や金額は地域ごとに異なりますが、費用負担を軽減できるため、導入前には利用できる補助金がないか必ず確認しておきましょう。
耐震シェルターをマンションに設置するのにかかる費用
マンションに耐震シェルターを導入する場合、費用はタイプや設置条件によって大きく変動します。以下では、各タイプごとの導入費用の目安を見てみましょう。
タイプ | 材質 | 価格目安 |
部屋型 | 木・鉄など | 約20万円〜450万円 |
コンテナ型 | 鉄・コンクリート・鉛など | 約400万円〜1,300万円 |
ベッド型 | 鉄・鋼・強化スチールなど | 約25万円〜100万円 |
テーブル型 | 鉄・鋼・強化スチールなど | 約20万円〜60万円 |
押し入れ・クローゼット型 | 鉄・鋼・強化スチールなど | 数十万円~数百万円 |
※価格はあくまでも目安です。サイズや設置場所などによって大きく変動します。
なお、耐震シェルターを設置する際は、上記の本体価格に加えて設置費用が発生します。
具体的な費用はマンションの何階まで搬入するか、エレベーターはあるかなどによっても異なるので、事前に見積もりを取るようにしましょう。
耐震シェルターの費用については、以下の記事でも詳しく解説しているのであわせて参考にしてください。
耐震シェルターの値段はいくら?設置費用や本体価格の相場をタイプ別に解説
耐震シェルターの設置には補助金制度を利用できる
耐震シェルターは大きな安心を得られる一方で、初期費用が高額になりやすい設備です。
そのため、導入を検討する際には自治体の補助金制度を確認することをおすすめします。
近年では、多くの自治体で住宅の耐震改修や耐震診断を対象とした助成制度を用意しており、その中にはシェルター設置が含まれる場合があります。
たとえば東京都や大阪市の一部地域では、耐震シェルターの設置費用に対して30万円程度の助成金を出しており、自己負担を大きく抑えることが可能です。
ただし、支給を受けるには「築年数」「耐震診断の実施」「設置場所」などの条件をクリアする必要があるため、事前の確認が欠かせません。また、自治体によっては対象となるシェルター自体が指定されているケースもあるので注意しましょう。
制度の詳細や自治体別の助成額については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
まとめ
マンションであっても耐震シェルターの設置は十分可能です。
最近では、限られたスペースに対応できる家具型やキャビン型、押し入れタイプなどさまざまな選択肢が用意されているので、自宅に合ったタイプを選んでみましょう。
マンションに耐震シェルターを設置すれば、マンション特有の「避難経路が確保しにくい」「大規模修繕が必要で耐震補強を進めづらい」といった課題を解決できるのが大きなメリットです。
一方で、設置場所の制約やメンテナンスの必要性、初期費用の高さなど、注意すべきデメリットも存在します。
そのため、導入を検討する際は、複数業者から見積もりを取り、補助金制度の活用も視野に入れながら総合的に判断することが大切です。
なお、HANAREではマンションに適した耐震シェルターについて、ご希望や予算に合わせた提案を行っています。カスタマイズ性の高いシェルターも取り扱っていますので、「うちでも設置できるのかな…?」と不安な方もぜひお気軽にご相談ください。