避難シェルターとは?メリット・デメリットや家庭用シェルターの導入ポイントを解説

有事の際には、「まずは公共の避難シェルターに避難する」と考えている方も多いと思います。
しかし、ここ数年は地震や水害、国際情勢の緊張による核リスクなど、私たちの暮らしは安全とは言いきれない時代になっています。
こうした背景から、自治体の避難所だけに頼ることに不安を感じ、自宅に避難シェルターの設置を検討する家庭も増えています。
この記事では、避難シェルターの基本から公共の避難施設との違い、家庭用シェルターの種類や導入のメリット・デメリットまでわかりやすく解説します。
大切な家族を守るための備えとして、ぜひ参考にしてください。
避難シェルターとは?避難施設とシェルターの違い
一般的に、避難シェルターとは「有事の際に、人々が一時的に身を寄せるための施設」を指します。
学校の体育館や地域の集会所、町内会館などが該当し、地震や水害、台風といった自然災害が発生した際に、住民の安全を守る役割を担っています。
ただし、こうした公共の避難施設はあくまでも「一時的な避難場所」であり、核シェルターや耐震シェルターのように、特定の災害に特化した構造は持っていません。
そのため、近年では核攻撃や地震に特化した家庭用シェルターへの関心が高まり、個人での設置や導入を検討する流れが進んでいます。
国内の公共避難施設一覧
日本国内には、自治体ごとに災害時に利用できる避難シェルターが用意されています。
内閣官房が公表している「国民保護ポータルサイト」では、全国にある避難施設を日本地図から検索でき、都道府県ごとに確認することが可能です。
いざというときに慌てないためにも、住んでいる地域の避難シェルターの場所を普段からチェックしておくことが大切です。
【参考】国民保護ポータルサイト
有事の際の避難先として公共の避難シェルターが不十分な理由
公共の避難シェルターには、学校や駅ビル、地域の施設などが該当し、災害時には多くの人々が一時的に身を寄せる避難所として機能します。
しかし、これらの施設は必ずしも津波や地震、核攻撃に耐えられるように設計されているわけではありません。
また、避難者が集中して収容人数の限界を超えてしまったり、自宅から遠いためスムーズに避難することができなかったりするリスクも考えられます。
そのため、公共の避難施設は有事の際の避難シェルターとしては不十分であり、本当の意味で「安心できる避難先」とは言いにくいのが現状です。
有事の際の避難先には「家庭用の避難シェルター」がおすすめ
有事の際、公共の避難施設では命の危険から自分や家族を守り切れない可能性があることを踏まえると、万が一に備えるためには家庭用の避難シェルターの導入を検討することをおすすめします。
家庭用の避難シェルターは、自宅や敷地内に設置して災害から身を守るための設備です。
「防災シェルター」とも呼ばれ、地震や水害、核攻撃などから家族の命を守る手段として近年注目されています。
公共の避難施設との違いは、家族単位で利用でき、いざというときに確実に避難できる場所を確保できることです。
また、移動のリスクや時間ロスも最小限に抑えられ、スムーズな避難が可能になります。
以下では、公共避難施設と家庭用の避難シェルターの違いを比較してみました。
項目 | 公共避難施設 | 家庭用の避難シェルター |
安全性 | 災害の種類によっては耐久性に制限あり | 災害シナリオごとに設計され高い安全性を確保 |
収容能力 | 多人数を収容可能だが混雑・混乱リスクあり | 家族単位での利用が前提。大人数には不向き |
立地やアクセス | 避難先までの移動が必要 | 自宅に設置するため即時避難が可能 |
生活支援 | 自治体による支援物資を受け取りやすい | 個人で水や食料を備える必要あり |
運営体制 | 自治体が管理。プライバシーは限定的 | 自営が前提。プライバシーを守れる |
このように、公共避難施設は「大勢が避難できる場所」である一方、家庭用の避難シェルターは「家族の安全を守れる場所」といえます。
家庭用シェルターにはいくつかの種類があり、それぞれの災害リスクに応じて選択できます。
以下では、その具体的な種類や、メリット・デメリットについてみていきましょう。
家庭用の避難シェルターの種類
家庭用の避難シェルターは、備えるべき災害リスクによって大きく3種類に分けられます。
そのため、設計されている目的や守りたい対象に応じて最適なものを選ぶことが大切です。
シェルターの種類 | 目的 | 設置場所など |
核シェルター | 放射線や爆風から身を守る | 主に地下に設置されるが、地上型や屋内型など種類も増えている |
耐震シェルター | 地震による家屋倒壊や家具の落下から身を守る | 屋内や敷地内に設置される |
津波シェルター | 津波の水被害から身を守る | 室内や敷地内に設置され、浮力で浮くタイプなどがある |
このほか、核・地震・津波など、さまざまなリスクに対応できる複合型のシェルターもあります。
それぞれのシェルターの違いについては、以下の記事も参考にしてください。
家庭用の避難シェルターの主なタイプ
家庭用の避難シェルターには、大きく分けて地上型・地下型・屋内設置型・エアコン型の4つのタイプがあります。
シェルターのタイプ | 特徴 | 設置場所 |
地上型 | 閉じ込めリスクを防げる。比較的短期間で設置可能 | 住宅の庭など |
地下型 | 爆風や放射線に対して高い防御力を発揮し、設置後は目立たない | 庭や敷地内の地下 |
屋内設置型 | 低コストで設置でき、平時は普通の部屋として利用可能 | 部屋の空きスペースなど |
エアコン型 | 壁に設置してきれいな空気を取り込むことで、有毒ガスや放射性物質などから身を守ることが可能 | 室内の壁や室外の換気設備 |
シェルターのタイプによって特徴は異なるため、目的や敷地条件に応じて選ぶことが重要です。
なお、収容人数や敷地面積に応じてカスタマイズできる製品も多く登場しています。
当社が取り扱うWNI社のシェルターも、ご希望や予算に応じたカスタマイズが可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
家庭用の避難シェルターを設置するメリット
家庭用の避難シェルターを設置するメリットは、以下のとおりです。
- 有事の際に自宅からすぐに避難できる
- 長期間の避難生活にも対応できる
- 防災グッズの保管場所として使用できる
- 仕事部屋や酸素カプセルとしても活用できる
家庭用シェルターには「いつでも家族の命を守れる安心感」があります。
高齢者や子どもがいて移動が困難な場合でも、すぐに避難でき、必ず居場所を確保できるのが最大のメリットです。
また「普段は使わないから邪魔になるだけでは?」と考える方も多いですが、最近では避難シェルターを仕事部屋や酸素カプセルとして活用できる製品も増えています。
実際、WNIのシェルターは高い気密性を活かして、酸素カプセルやシアタールームとして利用することも可能です。
家庭用の避難シェルターを設置するデメリット
家庭用の避難シェルターには、多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 定期的なメンテナンスが必要
- 自宅内に設置する場合は邪魔になる可能性もある
特に、耐久性や設備を維持するためには、定期的なメンテナンスが必要な点に注意しましょう。
メンテナンスには費用もかかるので、設置する際の費用だけでなく、ランニングコストも考慮した予算計画を立てることが大切です。
家庭用の避難シェルターの設置にかかる費用
家庭用の避難シェルターの価格は、シェルターの種類やタイプによって大きく異なります。
ここでは、一般的な目安を紹介します。
種類やタイプ | 費用相場 |
地上型
(核・耐震・津波シェルター) |
約700万〜1,500万円 |
地下型
(主に核シェルター) |
約2,000万〜3,000万円超 |
屋内設置型
(核・耐震・津波シェルター) |
約400万〜800万円 |
エアコン型シェルター | 約150万〜300万円 |
これらの費用は、シェルターの収容人数や大きさによって変動します。また、シェルターを設置する際は、本体価格だけでなく、設置工事費や維持費がかかる点にも注意が必要です。
自宅や家族構成、予算に合わせて最適なタイプを選ぶほか、事前に施工会社やメーカーに見積もりを依頼して、最終的な総額を確認するようにしてください。
耐震シェルターなら自治体の補助金を利用できる
避難シェルターの中でも、耐震シェルターの設置に関しては多くの自治体で補助金制度が設けられています。
この制度は、住宅の耐震化を進めるために実施されており、一般耐震診断や耐震工事に対する費用の一部を補助するものです。
たとえば、東京都の世田谷区では、耐震基準に満たない木造住宅に住んでいるなどの条件を満たした方を対象に、最大30万円の補助金が交付されます。
ただし、各自治体により交付条件や上限額が異なるため、事前に確認することが大切です。
補助金制度がある自治体や申請の流れについては、以下の記事を参考にしてください。
家庭用の避難シェルターを導入する際のポイント
家庭用の避難シェルターは有事の際に命を守れるメリットがありますが、決して安い買い物ではありません。
そのため、購入にあたっては慎重に検討する必要があります。
ここでは、シェルター導入時に抑えておくべきポイントとして、以下3つを紹介します。
- 何に備えるかを明確にする
- 信頼できるメーカー・販売店から購入する
- 有事の際以外の活用方法も考慮する
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
何に備えるかを明確にする
避難シェルターを選ぶうえで、まず重要なのが「何に備えるのか」をハッキリさせることです。
地震・水害・核攻撃など、災害の種類によってシェルターに必要な設備は異なり、かかる費用にも大きな差が生まれます。
目的が曖昧のまま購入してしまうと、いざという時に十分な性能を発揮できない可能性もあるため、まずは「どの災害から家族を守りたいのか」を整理しましょう。
信頼できるメーカー・販売店から購入する
避難シェルターに求められる最も重要な条件は、万が一の際に確実に機能することです。
そのため、購入する際は必ず信頼できるメーカー・販売店を選ぶようにしましょう。
安心して購入するためには、安全性や施工実績、アフターサービスなどのチェックが欠かせません。
以下の記事では、信頼できる核シェルターの製造メーカー・販売店の選び方を詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
有事の際以外の活用方法も考慮する
避難シェルターは、日常的に使えるかどうかも導入時の重要なポイントです。
普段から活用できれば、限られたスペースを有効に使えるほか、人が頻繁に出入りすることで維持管理も簡単になるというメリットもあります。
HANAREで取り扱っているWNI社の製品は、防音性や気密性に優れているため、普段はカラオケルームやシアタールーム、酸素カプセルという用途で活用できます。
このように、多目的に使えるシェルターも多く登場しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
避難シェルターに関するよくある質問
避難シェルターに関心があるものの、さまざまな疑問を抱いている方も多いでしょう。
ここでは避難シェルターに関するよくある質問と、その回答を紹介します。似たような疑問を持っている方は、ぜひここで解消しておきましょう。
避難シェルターは意味がないって本当ですか?
「100%安全ではない」「放射線対策には限界がある」という理由から、核シェルターは意味がないのではという声が一部であがっています。
確かに、すべての災害リスクから確実に守ってくれるシェルターは存在しないため、絶対に安全とは言い切れないもの事実です。
しかし、避難シェルターは放射性物質から身を守るため2週間程度の避難生活に対応できるほか、地震や水害などの災害時にも活用できます。
完璧ではないものの、「命を守るための有効な手段」であることは間違いありません。
火山噴火に耐えられる避難シェルターはありますか?
日本の火山周辺地域では、「避難壕」や「緊急避難シェルター」が設けられています。
たとえば、鹿児島県の桜島では、噴火に備えて避難壕が島内32カ所に整備されており、住民や観光客が一時的に避難できる場所として機能しています。
ただし、巨大噴火やその他の災害から身を守る施設ではないため、事前に避難計画を建てておくことが大切です。
DVの避難シェルターとは何ですか?
「DV避難シェルター」とは、災害用ではなく、家庭内暴力(DV)から逃れるために一時的に身を寄せる施設を指します。
自治体や民間団体によって運営されており、被害者が加害者から逃れて安全に過ごすための場所です。
まとめ|家庭用の避難シェルターを導入するならHANAREにご相談を
家庭用の避難シェルターは、有事の際に家族単位で避難でき、想定するリスクに応じてカスタマイズできるのが大きなメリットです。
最近では、多発する自然災害や、緊迫する国際情勢を背景に、導入・検討を進める家庭も増えています。
とはいえ、避難シェルターを自宅に設置するのはまだまだ一般的ではなく、個人でシェルター選びから導入までをスムーズに行うのは難しいでしょう。
そこでHANAREでは、地震や核攻撃のほか、台風や竜巻といったリスクに対応する家庭用シェルターについて、設計から導入まで一貫してサポートしています。
経験豊富なスタッフがライフスタイルや敷地条件に合ったシェルター選びをサポートしますので、ぜひ一度HANAREまでご相談ください。